BGMは「Fair
Wind」 (TAM Music Factory) |
by朱雀RS |
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SEVEN−TEENの時、僕の人生を変える事件が起きた。
冬季国体F県代表となった僕は、有頂天だった。
しかし、国体開催期間と年度末考査が重なったのだった。
国立の工業高専、赤点は60点、下駄無しの学び舎だった。
まともに卒業するのは7割弱で、各クラスには去年の先輩が同級で居た。
RS氏の思い出の学び舎 (F工業高等専門学校) (←F県内の工業系名門校。) |
9年間もこういう時の為に生きて来たのだ。迷わず国体出場を選んだ。これは留年を意味する。
高体連にも、学連にも加入していない教育機関なので、僕は一般の部で出場するつもりでいた。
幸い2回生ということと、年齢見合いで高校の部で滑れた。
結果はまぁ、ははは・・・・・
(F県下では、ずっと一番速かったんだけどなぁ??)
2回目の2回生の春を迎えた。
同級生は僕を’さん’付けで呼び、かつての同級生に遠くからオハヨウゴザイマスと声を掛ける。
その横で僕は右手を上げて’ヨオ!’と言う。
これはねぇ、キツイ状況です、ガキには。ハイ
普通でいる事って、凄いことなのですよ!!きっと!
当り前の事を当り前にできるって、ステキ!
ちょっぴり普通ではなくなった気がしてしまった僕は、学び舎を離れ、夜の街に向うようになった・・・・・・
(夜の街編は次回にでも・・・・)
今、思うと大した事じゃないのだけれども僕は腐りきってしまっていた。
若さなど棒に振るものだとさえ思っていた。
人の道を外さなかったのは、ささえがあったからだと思う。
義兄弟が3人いる。
男女間の友情は否定する口だが、内、二人は女性である。
幼馴染のY子には、随分とささえてもらったんだなぁと感謝している。
週末は寮にいても仕方ないので毎週のように帰省していた。
父は昔ながらの良き体育教師で、
実家は連日連夜、F大教育学部特設体育学科の学生の宴の園と化していた!
身の置き所の無い僕は、駅前のJ町の外れにある幼馴染のY子の家に帰り、
実家に顔を出して、Y子の家から寮にもどるという習慣になっていた。
Y子はオテンバで気の強い娘だった、いやそう信じていた。だから男友達のように接していた。
Y子は良く出かけて居なかったが、伯母様や御婆様と茶飲み話しをしては、過ごさせて頂いていた。
これまた兄弟分のS一もそうしていた。
3人は出身の有名小中学校の同窓生と比するとすこし外れた存在だったので必然だったのかも知れない。
そこには、猫がいて、その猫に合いに行っていたというのが真相だった!
その猫がある日、しこたま子猫を産んだのだった。
一匹だけ知恵遅れの黒い子猫がいて、兄弟に押し出されては御乳にも有りつけないような有様だった。
Y子はその黒い子猫にたいそう気を掛けて可愛がっていた。
’なんだぁ、コイツ優しいとこあんじゃん!’と見なおしてしまった。
お乳に有りつけない黒猫 (←うっうっ・・・もう少しなんだけど。) |
その黒い子猫は、少しづつ衰弱していって、とうとう黄泉の国に召されてしまった。
(今度、産まれてくる時は強くおなりよぉ〜!!)
Y子は顔をクシャクシャにして泣いていた。
胸キュン! 「あっ、なんだぁこれぇ〜!!!!」
その時、女の涙は反則って事を始めて知った。
1秒フラットで恋は終わった、なんたって、兄弟なんだからぁ!!
その日、いつものようにF駅迄見送りに来たY子は
’身体に気をつけてね、私の大切な人(の一人)だから・・・・・・’などと言うのだ!!!!
うっそぉ〜!
(’の一人’は意識的に聞こえなかった!)
二度目の反則に「胸ジーン!」
男ってぇ悲しい生き物は、なんでも自分の都合が良いように受けとめちまうものなのだ。
えぇえぇ、もちろん1秒フラットで恋は終わりましたよ。ハイ
なんたって、兄弟なんだからぁ!!
トコトコ走るローカル線の中、100Kmの憂鬱・・・・・・自分がなんとなく許せなかった。
1X2秒のあの下心が・・・・・なんとなく不純!
だが、僕の中でその日の情景は美化されてF駅には、淡雪さえ降っていたことになっている。
淡雪降る福島駅前通り (←初めてのJAVAアプレット作品:葉羽) |
電車に乗る度に、あの日の情景が浮かんでくるので僕は電車に乗るのをやめてしまった。
やがて、村一番の大型バイクを手に入れた僕にはドア TO ドアが可能となり、
駅での見送りの習慣はなくなった。
いまだに僕は、Y子の家に帰り、
(といっても、嫁ぎ先に変ってしまったのだけれども・・・・・・)
Y子の家の犬に合いに行き、
’泣かしたら、ぶち殺すぞコラァ!!!’
と、脅しをかけた旦那と茶飲み話しに車の話しをしている。
Y子といえば、僕の失恋話しを聞いては、
「弱い女なんていないってば!」
「ホント男って、馬鹿ねぇ!中学の時と一緒じゃない!」
などと説教をたれて・・・・・・とにかく元気に主婦をこなしている。
あの淡雪が降った日、街の灯が潤んで見えたような気もするが、
多分、気のせい、青春のまぼろしだったのさ・・・。
泣いてたまるかっ!(うっうっ)
BY 朱雀RS
(2004.8.7)
◆ 前作「男の2」についてのコメント ◆ 朱雀RS
有難う御座います。 扉がメチャクチャうれしいです。 ショートトラックの写真じゃぁないですか! 情報収集力にはオノノイテしまいまする。
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