燕の歌
弥生(やよい)ついたち、はつ燕、
海のあなたの静けき国の
便(たより)もてきぬ、うれしき文(ふみ)を。
春のはつ花、にほいを尋(と)むる。
あゝ、よろこびのつばくらめ。
黒と白との染分縞(そめわけじま)は
春の心の舞姿。
弥生来にけり、如月(きさらぎ)は
もろともに、けふ去りぬ。
栗鼠(りす)の毛衣(けごろも)脱ぎすてて、
綾子(りんず)羽ぶたへ今様に、
春の川瀬をかちわたり、
しなだるゝ枝の葉わけて、
舞ひつ、歌ひつ、足速(あしばや)の
恋慕の人ぞむれ遊ぶ。
岡に摘む花、菫ぐさ、
草は香りぬ、君ゆゑに、
素足の「春」の君ゆゑに。
詩:ダンヌンチオ
訳詩:上田 敏
PHOTO:なっちヤン
Arranged by 葉羽
MP3 by blue Piano Man ”November Girl”
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