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 #176 嫁ぐ娘へ送る言葉

by 葉羽
Backwall:のび太の結婚前夜
BGM"Please Don't Go" by Blue Piano Man
Site arranged by 葉羽

 

「パパ!あたし、およめに行くのやめる!!

 わたしが行っちゃったらパパ寂しくなるでしょ?これまでずっと甘えたりわがままいったり・・。

 それなのに私のほうは、パパやママになんにもしてあげられなかった」

「とんでもない、君はぼくらに素晴らしいおくり物を残していってくれるんだよ」

「おくり物?私が?」

「そう、数えきれない…ほどのね。最初のおくり物は、君が生まれてきてくれたことだ。午前三時ごろだったよ。君の産声が天使のラッパみたいに聞こえた。あんなに楽しい音楽はきいたことがない」

「病院を出たとき、かすかに東の空が白んではいたが、頭の上はまだ一面の星空だった。

 この広い宇宙のかたすみに、僕の血をうけついだ生命がいま、生まれたんだ。そう思うと、むやみに感動しちゃって。涙がとまらなかったよ。

 それからの毎日、楽しかった日、みちたりた日びの思い出こそ、きみからの最高のおくり物だったんだよ。

 少しぐらいさびしくても、思い出があたためてくれるさ。そんなこと気にかけなくていいんだよ」

「のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。

 あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。

 かれなら、まちがいなくきみを幸せにしてくれるとぼくは信じているよ」

(ドラえもん「のび太の結婚前夜」/静香ちゃんとお父さんの会話より)

 

 

 

葉羽 「嫁ぐ娘への言葉」について

 この話は、漫画ではなく2014年の『STAND BY ME ドラえもん』で、孫たちと一緒に観た映画の中の台詞です。ドラえもんのシリーズの中でも語り継がれる名作だと感じました。静香ちゃんのお父さんの言葉に胸を打たれて、孫たちには判らないよう、そっと涙を拭いた覚えがあります。


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