◆立膝を ゆっくり割って口ずける あなたをいつか産んだ気がする(林あまり)
◆重ねても重ねても 重なりきらない言葉と同じ 重ねてみても同じ体(同上)
◆もう愛を期待するほど愚かではないから「楽しかった」と言って(佐藤真由美)
◆耳元で モネの睡蓮が好きという 仮面女の乳首を吸う(加藤綾子)
◆きみ恋し おぼろ月夜に 濡れつきぬ 一人慰め 女せつなや(与謝野晶子)
◆ランジェリー すべりおちゆくたまゆらの うすべに色の迷い楽しむ(松平盟子)
◆抱き合い 互いの後ろの水のいろを 眺めて過ごす朽ちてゆくまで(一太郎)
◆乳ふさを ろくでなしにもふふませて 桜終わらす雨を見ている(辰巳泰子)
◆思いつつ 寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(小野小町)
◆忘れ去ることを諦め幾年か 君の記憶が朧げになる(さかいまみ) |