◆現代は子供が他者との葛藤をバネとして社会的自我を構成するのが難しい時代である。彼らは付き合う兄弟も少なく長い期間孤立した家族に囲い込まれて個室を与えられ、勉強は強いられるが、別に明日の喰うものに困らないから子供たちは努力することの必要性を身体で実感できない。
◆一方、地域社会における庶民的な言語関係や情緒関係、年齢を異にする子供同士のタテの関係などはほとんど消滅している。
◆かわりに、彼らはゲーム、パソコン、ケータイなどの電子メディアを通してのパーソナルなこだわりにひたすら熱中している。学校のような管理空間でも上からの統一的な管理が機能せず、生徒同士で自然に形成されるいくつもの小さなグループの雑居状態のようになってしまう。
◆子供自身がある年齢からはもうただの子供ではなく、半分は社会にむかって開かれた大人なのだということを自覚できるような状態を作り出さなくてはならない。大人としての能力(攻撃力や体力)の萌芽をうまく発展させることから目をそらし過ぎて来たのだ。 |