<<INDEX | <PREVNEXT>
 
  by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane
"ホシノキセキ" by -WindSphere-
 

(丸山芳子)今年の「精神の<北>へ」に参加したフィンランドのヘレナ・ユンティラさんからメールが来ました。

 

【2017/10/11】 母

 ただ穏やかに生きて欲しい。

 提案するけど押し付けず、そっと手伝い、見守る。

 高齢の両親と過ごす心静かな二日間。


 

【2017/11/4】 ヨコハマトリエンナーレ

 2週間前にみたヨコハマトリエンナーレ。丁度いい作品数なのでじっくり観ることができたせいか、共感できる作品がこれまでよりも多かった。

 いくつかの印象深い作品の中から、今、自作について考えていることに共振する作品をひとつ。

 ラグナル・キャルタンソン(アイスランド)の映像作品「ザ・ビジターズ」は、大きな屋敷の各部屋にひとりずついる演奏家たちが互いの音をヘッドホンで聴きながら演奏している、複数の映像で構成され、それらの音が会場で合奏として聴こえるものだった。

 個室の演奏家たちのそれぞれの様子を覗き見するように見られるので、繰り返される曲なのに飽きない。

 演奏家たち以外に、屋敷のテラスでくつろぐ人々の傍らで、庭で爆発物を準備する人物がいて、なにやら不穏な出来事に暗転するのか?と思いきや、一瞬、爆音が演奏をかき消して響いたものの、人々は動揺する様子もなく演奏と語らいを続けている…。

 なぜだろう? 何が起こっても、人間はその災難を乗り越えて、対応しながら生きて行くことの暗示だろうか。

 「あきらめ」ではなく、その状況での最善を選択して、しなやかに強靭に生きて行くことへの。

 

【2017/11/4】 サナギ

  インスタレーションの一部にする予定のサナギを制作中。 I'm making a pupa for my installation work.

(※右の背景画像「サナギから飛び立つ蝶に東北の人々を重ねて」)⇒

 3.11の後、数年間に渡ってアゲハの変態プロセスを観察し続けたことがあった。

 気の遠くなる未来まで及ぶ原発事故の影響に動揺する人間を尻目に、粛々とダイナミックな変容をみせた小さな姿には、大きな自然のサイクルの中でアゲハも私たちも生きているんだということを、アゲハのプロセスを観ながら実感し、教えられた。

 そのプロセスのなかでサナギの期間は、青虫から蝶へと生まれ変わる最もミラクルな行程だと思う。

 ツタンカーメン王の棺に似た姿で10日ぐらいの間死んだように動かず、まるで瞑想するようだけれど、その内部では青虫の体をどろどろに解体し、細胞の死と生成とを同時に行なっている。

 私は、その「再生に向かう密やかな準備」の状態に興味を覚えた。3.11以前の意識や社会を変えようと、困難から復活しようと、努力する人々が重なって見え、いくつかの作品にしてきた。

 あれから7年、あのようなカタストロフィーを体験してさえも、日本社会は大きく変われない。変えようとする多くの言論や活動が噴出してもなお。

 意を決してサナギの外皮からはい出した蝶の目に映る世界は、晴れやかに輝いてはいないけれど、蝶自身(つまり私たち)が変える意思を持って飛び立ち、常に意識して小さな変化を起こし続けるべきなんだな。

(2012年6月3日から5回に渡り、アゲハの卵から蝶になるまでを観察した記録。FBを始めてからやめてしまった古〜いブログ…) http://d.hatena.ne.jp/maryoshi/20120603/p1

葉羽 サナギは、僕もこのコーナーの編集を通じてずっと見守って来ましたから、その成長の過程はとても興味深く感じていました。特にいったんドロドロに溶解するというところから、どうやってもう一度(間違いなく)形を成すのか不思議でなりません。

<<2017.11.15 Release by Habane>>

PAGE TOP


  MARUYMA YOSHIKO~発想の泉~
 Copyright(C) MARUYAMAYOSHIKO & HABANE.All Right Reserved.