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  by Suzaku-RS / Site arranged by Habane
"Look Forward" by TAM MusicFactory

朱雀RS 10月某日  雨のHighwayを北へ北へと飛ばしている。
 まるで気分はツーリングカーレースだ。

10月某日の前日

 あれっ携帯にメッセージがある。
 Auメッセージサーバーに早速アクセスしてみる。
 トルゥルゥ~トルゥルゥ~
 電話のベルがいつもより静かになっている。

 聞きなれた声がいつもより沈んだ声で聞こえる。
「俺だっ!陣場のオジさんが亡くなられた。」
「帰って来られないだろうが、一応知らせとくなっ!」

 馬鹿野郎・・・帰れねぇことなんてあるかい!!!
 俺の行動は俺が決めるんでぇぃ!  しかし、困った・・・
 明日は納品の整理があるし、
 明後日はカスタマーとの重要なミーティングがある。
 どちらも外せねぇなぁ~  う~ん困った、困った・・・

  

 だけど、陣場のオジチャンに別れを言わない訳にはいかない!
 う~ん困った、困った・・・
 高校時代  俺はとんでもなく悪ガキだったらしい・・・
 誰もが見下げたマナザシで、困ったような顔をしていた。

 「朱雀は不良だから、近寄っちゃぁだめだよっ!!!」
 後ろ指なんか指され放題だった。
 斜に構えては世間を見据えていた。
 その内面で、ホントはとんでもなく怯えていたような気がするんだ。

 学校や自宅では知ったかぶりの馬鹿な大人達がうるせぇので・・・  僕には隠れ家や駆け込み寺があった。
 それは、近所のオバちゃんの家だったり
 親友のオバちゃんの経営する割烹だったり
 Jazz喫茶だったり・・・  幼馴染の家だったり・・・

 自分の親でさえ、僕を全否定している時に・・・
 そこには、僕を受け入れ、そして暖かく接してくれる人達がいた。  そんな人達に接し、守られていたからこそ
 僕は道を外さなかったのだと、今でも感謝している。

 そんな中に陣場のオジチャンは居た。
 自分の親父とは真逆で・・・
 ひたすら穏やかで、ひたすら寡黙で、ひたすら優しい人物だと
 僕は感じていた。

 県警鑑識のオジチャンは、きっと鼻が利いたに違いない。
 きっとヤニ臭せぇとか、アルコール臭せぃとか気付いてたろうなぁ?  ・・・・・・・

  

 しっかり会話をするわけではなかった、
 僕の記憶には二言しか残っていない。

  「なんだべぇ~」 どうしたんだ! 違うだろそれ! 駄目だよ!
 の三段活用!

 「ほうかいぃ」 そうか! そうだったのか? そうじゃないだろ!
 の三段活用!

 そう、この二言しか記憶にはないのだ・・・

 だけどね、僕が寡黙でありたいって思うのはオジチャンの影響だと  思うんだよ!!!

 県警音楽隊にも所属していたオジチャンは、
 女系家族にあっていつも片隅で好きなギターやびわ(マンドリン)を  弾いていたっけ・・・

 その背中が雄弁に’男、かくあるべし!’って語っていたような
 気がするんだ。

 幼馴染みに「顔出してあげてぇ、喜ぶわよぉ~」って
 いつも言われていた。

 高校を卒業してから一度も顔を出していない・・・
 なんという不義理なのだぁ~

 そうだ、じぇったいにお別れを言いに行かなければ・・・

再び10月某日

 ”ちょっと、出てくるわぁ~”
 ’どこにっ?’  
 ”フ・ク・シ・マ”
 ’はぁ~???’

 僕は首都高に飛び乗り、思い切りアクセルに蹴りを入れる。
 あれっ? こいつ以外と早いじゃん・・・
 リヤカー変わりのくせして
 気分はレースカー!?
 次々と先行車を抜いては後塵を浴びせて行く・・・
 うん、いい感じ!
 時間ギリギリでお通夜に間に合った。

 (実際はコレ)

 家族一族イメージ
 会場には、家族一同に囲まれた笑顔のオジチャンのスライドが
 流れていた。幸せそうだ。89歳・・・大往生だったのかな・・・  花に囲まれたオジチャンの遺影に一礼して着席した。

 オジチャンイメージ
 坊様の読経を聞きながら、いよいよ御焼香の運び・・・
 ああ、●●と■■がいる。
 心んなかで、”有難う、オジチャンに会えました。感謝!”
 御焼香させて頂いて・・・

 ”お世話になりました。”
 ”有難う御座いました。”
 ・・・やっぱ、さよならはやめとくね!?
 ”おやすみオジチャン!”

 今さ、オーガニックローズの世界になんか入ってしまったので
 そのうち花一杯持って、そっちに行くよ!
 それまで、安らかにお休み下さい。

 ああ、幼馴染が居る。
 家族の皆様に御挨拶をしてと・・・
 さぁ、仕事中だぁ、けえんべぇ~

 そそくさと東北道へとハンドルを切って南へと向かう。
 郷里のフクシマには40分位しか居なかったなぁ・・・

 僕は南へ南へとアクセルに蹴りを入れるのであった。
 まるで気分はGTカー
 きっと、オジチャンは天国でなんだべぇ~って言ってるな!
 なんせ警察官だったからさ・・・
 きゃははは、ごカ・ン・ベ・ンを~

 当日中に帰京した僕は、日締めの処理を終えると
 ■■にメールを一本入れた後
 オジチャンに乾杯っ!

  

 上を向いたらキリがない 下を向いたらアトがない 泣いてたまるかっ! 夢がある

(by 朱雀RS 2018.10.28 リニューアル・アップ)

朱雀RS 僕の大好きな人達が幸せでありますようにっ!!!


 


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