まぼろしの橋 by まめしば
でこぼこ道をぐらぐらと
やっとの事で通り抜け
わっ と
いきなり開けた空間の向こうに
自分の役割を終えた橋は
静かに静かに立っていました。
呼びかけても
なんにも答えてくれない
受け止めてもくれない
迷い込んだのはこちらのほうで
そこは ずうっとそう在り続けた世界。
昔 きっとこの橋の上を
煙一杯にはきながら蒸気機関車が走り
たくさんの人を運んで行ったんだろうな・・
あちこちの山々から水を集め
いっぱいに湖が膨れ上がると
その水底にかくれてしまう橋。
作られた訳を忘れた橋は
自然の中にすっかりと溶け込んで
今はもう 何も語ろうとはしませんでした。
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