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『恋愛カルタNEXT-僕たちの物語-』""の札-01

  10万年の誠意  by 丸山芳子

 放射性物質が無害になるまでの10万年間
 無事に保管し続けるため
 フィンランドは最終処理場を建設している

 岩盤を地中へ向かって廻るように掘り
 地下500メートルの深層に施設を造る
 完成は100年後

 ネアンデルタール人の時代から1万年
 10万年の間には氷河期到来の可能性もあり
 人類は滅亡するかもしれない
 まったく異なる生命体に交代しているか
 ネアンデルタール人程度に退化しているかもしれない

 彼らにどうしたら地下の危険物を
 掘り返さないように警告できるのか?

 まざまな意見が出た結果
 警告は却って好奇心を刺激するので
 いっそ、存在が永遠に忘れ去られるほうが
 安全だという結論に至る

 最終処理場を持たないまま稼働している
 世界中の原発保有国は
 愚かで無責任に他ならない

 それどころか
 フィンランドが10万年間も
 責任を果たそうとしているとは
 なんという未来への誠意なのだろう

Poem by 丸山芳子
BGM by H/MIX GALLERY "氷雪の森林"
Photo:フィンランドの森
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