10万年の誠意 by 丸山芳子
放射性物質が無害になるまでの10万年間
無事に保管し続けるため
フィンランドは最終処理場を建設している
岩盤を地中へ向かって廻るように掘り
地下500メートルの深層に施設を造る
完成は100年後
ネアンデルタール人の時代から1万年
10万年の間には氷河期到来の可能性もあり
人類は滅亡するかもしれない
まったく異なる生命体に交代しているか
ネアンデルタール人程度に退化しているかもしれない
彼らにどうしたら地下の危険物を
掘り返さないように警告できるのか?
まざまな意見が出た結果
警告は却って好奇心を刺激するので
いっそ、存在が永遠に忘れ去られるほうが
安全だという結論に至る
最終処理場を持たないまま稼働している
世界中の原発保有国は
愚かで無責任に他ならない
それどころか
フィンランドが10万年間も
責任を果たそうとしているとは
なんという未来への誠意なのだろう |