遠方(をちかた)の君へ by 式波
貴方が生まれた日の事を 今でも鮮明に記憶している
若葉萌える卯月の雨上がり 貴方は十日も遅れて産声を上げた
そんな貴方と たった二年で別れが来るとは 考えもしなかった
苦しい息の下で 私の指を握りしめた小さな手 その温もりを決して忘れない
今はもう会うことも叶わない 遠方(をちかた)の君へ
短い間だったけれど たくさんの幸福(しあわせ)をありがとう 貴方の面影を抱いて 母は生きていきます