#004 風とカムイと
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  風とカムイと  by まめしば

 岬の先の
 光も差さぬ手彫りのトンネル
 目カクシオニ通りゃんせ
 そこを抜けたら足元ガラガラ
 見上げるほどの岩の山

 ちょっと大きな風が吹いたら
 崩れそうだね 崩れそうだよ

 波打ち際のぎりぎりを
 青に染まらずあるいていけば
 まるいガラスの浮き球が
 舟の話をしてくれる

 風の音 風の音
 波の声 波の声

 それはみんな遠い思い出
 今では石の階段さえ崩れはて
 人っ子ひとり踏み込めぬ
 ここから先は通せんぼ
「時」は全てを包み込み・・・

 ただ 乙女が姿を変えたという
 カムイの岩だけは
 あの日と同じように今も 凛として
 何かを待ち続けている

 

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