風とカムイと by まめしば
岬の先の
光も差さぬ手彫りのトンネル
目カクシオニ通りゃんせ
そこを抜けたら足元ガラガラ
見上げるほどの岩の山
ちょっと大きな風が吹いたら
崩れそうだね 崩れそうだよ
波打ち際のぎりぎりを
青に染まらずあるいていけば
まるいガラスの浮き球が
舟の話をしてくれる
風の音 風の音
波の声 波の声
それはみんな遠い思い出
今では石の階段さえ崩れはて
人っ子ひとり踏み込めぬ
ここから先は通せんぼ
「時」は全てを包み込み・・・
ただ 乙女が姿を変えたという
カムイの岩だけは
あの日と同じように今も 凛として
何かを待ち続けている |