#002 まぼろしの橋
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  まぼろしの橋  by まめしば

 でこぼこ道をぐらぐらと
 やっとの事で通り抜け

 わっ と
 いきなり開けた空間の向こうに
 自分の役割を終えた橋は
 静かに静かに立っていました。

 呼びかけても
 なんにも答えてくれない
 受け止めてもくれない

 迷い込んだのはこちらのほうで
 そこは ずうっとそう在り続けた世界。

 昔 きっとこの橋の上を
 煙一杯にはきながら蒸気機関車が走り
 たくさんの人を運んで行ったんだろうな・・

 あちこちの山々から水を集め
 いっぱいに湖が膨れ上がると
 その水底にかくれてしまう橋。

 作られた訳を忘れた橋は
 自然の中にすっかりと溶け込んで
 今はもう 何も語ろうとはしませんでした。

 

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