セピア色の・・ by まめしば
誰にでもきっと
心の奥に残ってる一枚の絵があります
それは たとえば写真だったり
有名な だれそれの絵画だったり
人それぞれに違うものかもしれないけれど
忘れられないその絵は
心の奥の深いところでじっと
あなたがふと思い出してくれるのを待っている・・
そんな絵です
多分小学校の1年生くらい
もしかしたらもっと小さかったころ
冬の=吾妻おろし=の風が吹いて
ぐじゅぐじゅの湿った雪が車のわだちを作っていて
バス停の看板 時刻表
待ってた人が残していった消えかけた足跡
ちいさなミトンの手袋
ウサギのふわふわがちょこっとだけ付いた硬い靴
そのとき着ていたオーバーの色も
みんなセピアに変わっているのに
あのとき包んでくれた両手のぬくもりと
風をさえぎってくれた大きな背中と
多分 私を見る目は笑っていて
ぎゅっと抱きしめてくれた腕はあたたかくて
母と二人・・・
世界中でたった一人
私だけにしか見る事のできないその絵は
年を経るごとに 色あせるどころか
やさしい色で輝いています
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