葉羽 今回の記事は2006年2月に書かれたものです。「そんな事件もあったっけ」ということで読んでいただければ。
ライブドア事件に関連して、対岸にいたはずの民主党の議員が、進退を問われる立場に陥っています。
いわゆる「堀江メール」騒動の渦中にある、永田さんという36歳の国会議員です。
■ 若さゆえの過ち
ライブドアの前社長であった堀江氏が、自民党の武部幹事長の息子に、選挙応援の前金(?)として3,000万円の振込みを支持したという疑惑です。
この疑惑の真偽のほどはよく分かりませんが、いずれにせよ「紙に印刷した電子メール」程度の証拠で人を追い詰めようなんて、私だったらば恥ずかしくてできません。
あれぐらいならば、少し電子メールの知識があればすぐにつくれるような代物です。
まさに若さゆえの過ちといったところです。
当の本人は、休養中の病院のベッドで、心の痛みに今宵も一人泣いているのでしょうか?
■ ミイラ取りがミイラになった日
民主党の対応を見ていると、ライブドアと同様に、彼らにも若い人たちの暴走に歯止めをかけてくれる重鎮がいないのだという印象を受けます。
つまり、追い詰める側が、追い詰めようとする相手と同じ程度の組織レベルだったということです。
もし例のメールが真実ではないならば、証券取引法違反(風説の流布)と、刑法違反(名誉毀損)の違いがあるだけで、どちらも立派な犯罪者集団です。
前原代表の組織運営能力に以前から疑問を感じていたのですが、ついにミイラ取りがミイラになってしまいました。
民主党がライブドアの責任や、彼らを間接的に支援した自民党の責任を問うならば、それと同様に、自らの行いに責任をとる必要がることは言うまでもありません。
■ 本当に大丈夫か?
私は仕事柄、システム開発を委託している先の担当者さんと、やりづらい交渉をすることがよくあります。
どうしても譲れない、仕様書(開発をお願いするシステムに求める機能や性能を言葉、図や数値で表した書類。)の解釈の食い違いを納得してもらう場合などです。
そういう交渉がうまくいかないと、いくつか困ったことが起こります。
1.重大な食い違いの場合、システムを開発した目的が達成されないので、高い追加費用を払うか、機能をあきらめるかの選択をせまられる。
2.そこまでならないにせよ、次回からの交渉の分が悪くなり、たいしたこと無い交渉内容ですら通らなくなる。
3.最悪私は会社をクビになる。
そうなるわけには行かないので、仕様書を何回も読み返して、自分の解釈に決定的な誤りが無いか、引き換えとして譲歩できる他の機能が無いかを徹底的に考えます。
その間、「何故そう思うのか?」「本当に大丈夫か?」と自分の判断を疑う作業を何十回となく繰り返します。
そこまでやっても、30そこそこの私は、本番を前にすると、手足は震え、声は上ずってしまいます。
いよいよ話がこじれてくると、回を重ねるごとに偉い人が出てくるのでなおさらです。
交渉が終わる頃には、用意したプリントが、手にかいた汗でふにゃふにゃになっているというのもザラです。
■ 決断を尊重するに足る大人
永田議員は私が交渉の直前に恐れていることのすべてをまさに引き起こそうとしています。
つまり、質問に立った目的は果たせず、本丸だった4点セットの交渉はすっかり分が悪くなり、あまつさえ辞職の憂き目に会おうとしています。
明日はわが身と思ってこれからも頑張ります。
私の子どもが進学先や就職先を選ぶとき、あるいは、そうなってほしくは無いですが、進学しないこと、就職しないことを選ぶとき、最終的には彼らの決断を尊重するつもりです(後者の選択をしたときに、経済的な援助を続けるかどうかは別問題ですが・・。)。
というか、決断をする前に、「本当に○○になれるのか?」「それで本当に大丈夫か?」ということを徹底的に考えられる、そんな、「決断を尊重するに足る大人」に育ててあげたいです。
少なくとも永田議員は、そんな大人に育ててくれる人がまわりにいなかったのでしょう。
それはとても不幸なことだと思います。