PART
2 「願い」
原子力発電所は巨大なエネルギーを生み出す。しかし原子力の制御は難しい。放射能など現在の最高の科学技術をもってしても、人間はそれを完全に自分のものにできないでいるのである。もしできていると思い、原発は絶対安全と考えているとしたらそれは人間のおごりにすぎない。いつ人間の手綱を離れて飛び出すか予測のつかない状態にあるわけであるから、ちょっとした気のゆるみがたちまち取り返しのつかない事故につながるのである。(途中省略)東京電力のような大きな会社が町や住人のためにならないことはしないはずという「信用」のみが、みずから何の技術的な手立ても持たない住民たちを「安心」させているのである。その信用だけは裏切らないでほしいものである。(途中省略)東京電力が隣接の双葉郡広野町に広野火力発電所を建設し、また東北電力が原町市、相馬郡鹿島町や相馬市、相馬郡新地町火発を造ろうとする計画を持っていることをみて、原発はすでに時代遅れになっており、これからは火発の時代が来るのではないかとささやき始めているのである。電源コストが最も安いといわれた原発も、そのような神話はすでに崩壊しているのである。なお福島第1原発の沸騰水型原子炉を作ったアメリカのゼネラルエレクトリック(G・E)社はすでに原子力部門から撤退方針を打ち出しているということも、何か原発の将来を物語っているように思えてならない。 大熊町史(通史1985年発行)第4章「電力」 写真は原発建設中の画像。
(2014.7.16)Ookuma |