PART
6 「壁」
写真は請戸の魚市場。ここにも津波は襲いかかった。6~7メートルはある市場の天井には長机が引っ掛かり屋上には魚ケースが乗っている。この建物の高さをはるかに超えた波の痕跡が今も残る。南相馬では今まで以上の防潮堤が造られるという噂もちらほら聞く。この建物の倍以上の防潮堤を海岸沿いに造れば今回のレベルの津波は防げるという発想なのだろう。 2枚目の写真は波で破壊された小高区塚原の防潮堤。これを作ったとき防潮堤がこんな姿になることを想像できたろうか?見ての通り人が自然に立ち向かう、自然を克服しようとする考え方はあまりにも近代的な発想に感じる。「壁」を作るということは、海を眼で見ず、海の声を聴かず、自然との対話を拒むということ。「壁」は今後の自然災害で二の足を踏む「原因・要因」になると言えないだろうか?原発の建屋と同じことだ。海を意識から消すということは「見えないもの」への不安と生み出すということ。今、しなやかな発想で地域環境計画を見直す必要があると思う。 |