Field Dessin“闇の中の黒い馬” ~被災地南相馬で出会った言葉と写真~
PART 9
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PART 9 「

ここ南相馬で「馬」は神の使者として大切にされている。もちろん「野馬追」という夏の祭りも神旗争奪戦や武者競馬、武者御行列などは当時の軍事訓練の名残で勇壮ではある。特に野馬掛けは今なお残る神事だ。 ... 原町の在の祖父母が健在の頃は、私が会津坂下の名物という「馬刺し」をおみやげに持って行くと信心深い祖母はいかめしい顔をして口をきかない。一方祖父はハイカラだったので「おらぁうめならなんでもくうどはぁ(私は美味しいものならなんでも食べますよ)」と言いパクパク食べていた。酒に酔うと子供の頃、裸馬に野って野山をかけずり回って遊んでいたことをうれしそうに話す祖父であった。このように、この地域の馬への愛着は特別なものであることは確かだ。そういえば「相馬焼き」と呼ばれる焼き物にも馬の絵が絵付けされているものが多い。とにかく「馬」はこの土地に生きる者のシンボルであることは間違いない。 写真の馬は震災当時小高町をさまよっていて中村神社に保護されていた馬。ずっと餌を食べていなかったのでやせんま(痩せ馬)になってしまったそうだ。ゆっくりと回復しいずれ野馬追で活躍するのだろう。


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