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4 「仏」
南相馬市小高区(20㎞圏内)大悲山(だいひさ)には薬師堂石仏・阿弥陀堂石仏・観音堂石仏と呼ばれる平安時代の磨崖仏(まがいぶつ)がある。
観音堂石仏はそのうちのひとつ。岩窟の手前に堂が建っていたが震災のため崩壊。以前御堂が健在の時、中は暗く、高さ5メートル半の十一面千手観音のレリーフはよく見えなかった。御堂崩壊のため観音像はその全貌を現した。
ここに立ったときは混乱した。まるで森の中で迷っていて、いつのまにかバーミヤンに来てしまった?そんな錯覚さえ起こすような不思議な気持ちになった。その姿は剥落してはいるが、美しい。現実問題、剥き出しの状態からいち早く御堂を再建しこれ以上の風化・剥落を食い止めねばならない。もちろん観音堂石仏も放射能被害を受けている。 |