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 NO-338 やっぱり、リリー
毒舌亭Presents
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【やっぱり、リリー】

 浅丘ルリ子が演じるドサ回りの売れない三流キャバレー歌手松岡リリー。

 最初から歌手役に決まっていたわけではない。企画では、北海道の酪農のおかみさん役。

 朝早く起きて牛乳を搾って牛舎を掃除する働き者の、夫に先立たれた女性役だった。

 ところが浅丘の意見もあって、釧路辺りのキャバレーで「今日の出演リリー」と言うのを聞いた山田洋次監督が「これがいい」ということになり、リリーとなったといういきさつがある。

 

 マドンナ役では人気1,2位を争う吉永小百合演じる歌子が登場した第8作「男はつらいよ 柴又慕情」(1972)に遅れること1年、浅丘リリーの登場は第11作『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(1973)まで待たなければならなかった。

 リリーは気っぷが良くて自己主張が強い、寅と似た性格の女。だからマドンナとして最多4回(回顧の第50作を含めると5回)も出演したのだろう。

 その『寅次郎忘れな草』4Kデジタル修復版がちょうど今、BSテレ東で放送中だ。

 

 ところで、この映画の中で、次のとおり、クラシック音楽が数多く使われているのにお気づきだろうか。

 見えないところで山田監督の絶妙の演出が発揮されているのだ。

 ♬ Heidenröslein D.257, Op.3-3(野ばら)/ Franz Peter Schubert(シューベルト)

 ♬ Vorschule im Klavierspiel(練習曲第8番Op.101-8)/ Ferdinand Beyer(バイエル, 独)

 ♬ Molitwa dziewicy(乙女の祈り)/ Tekla Badarzewska(バダジェフスカ, ポーランド)

 ♬ Ayre(管弦楽組曲第3番ニ長調BWV.1068第2曲エア) / J.S. Bach(バッハ, 独)

 ♬ Les toréador(歌劇『カルメン』より第一組曲第5曲) / Georges Bizet(ビゼー, 仏)

 ♬ Little Party(25の練習曲Op.100より第4番〈小さな集会))/ Johann Friedrich Franz Burgmuller(ブルクミュラー, 独)

 ♬ Elvira Madigan(ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467第2楽章 Andante, 別名エルヴィラ・マディガン)』 / W.A. Mozart(モーツァルト, オーストリア)

 ♬ The Young Prince and the Princess(交響組曲『シェエラザード』Op.35第3曲〈若き王子と王女 〉) / Nikolai Rimsky-Korsakov(リムスキー=コルサコフ, 露)

 なお、映画音楽に使われているクラシック音楽については,後日別途、my個人サイトにアップ予定。

毒舌亭(2021.12.29up)


♬ Heidenröslein D.257, Op.3-3(野ばら)/ Franz Peter Schubert(シューベルト)

 

 

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