【常緑名画座だより】#054〜悪い奴ほどよく眠る
あの黒澤明(1910-1998)監督の作品に、Alexandre Dumas(アレクサンドル・デュマ)の『Le Comte de Monte-Cristo(モンテ・クリスト伯)』とWilliam Shakespeare(シェイクスピア)の『Hamlet(ハムレット)』をベースにして製作されたと言われる『悪い奴ほどよく眠る』(1960)という映画がある。
ライナーノーツによると、
「汚職事件に絡み自殺した男の息子による父親を死に追いやった政官財の有力者たちへの復讐劇を通して、日本社会に根深くはびこる腐敗の構造の中でのうのうと甘い汁を吸い続ける巨悪に挑んだ社会派サスペンス・ドラマの力作。」とある。
主演は三船敏郎(1920-1997)。黒澤プロダクションの第1作だった。
興行的には失敗したものの、『Godfather(ゴッドファーザー)』(1972)のFrancis Ford Coppola(フランシス・フォード・コッポラ, 1939-)監督が、『ゴッドファーザー』冒頭の結婚式のシーンを、本作の冒頭の結婚披露宴のシーンから着想を得て作ったうえで、この映画を英国映画協会(BFI)の「The Directors’ Top 10 Greatest Films of All Time(史上最高の映画ベストテン)」でベスト映画の1本に投票したというから面白い。
さて閑話休題。
甘利さんが自民党幹事長に決まった。金銭授受疑惑事件のとき「睡眠障害」だとして病院に逃げ込んだ後ダンマリを決め込んだ人だが、幹事長に選ばれて興奮し、今回も喜びの甘利、いや余り、よく眠れないと言っているのだろうか。
いやいや、この映画のように、安堵して今宵はぐっすり眠っているに違いない。
Evergreen Motion Picture通算54本目。
🎥 悪いやつほどよく眠る(1960)予告編
毒舌亭(2021.10.6up) |