その15 傷リンゴ
「リンゴ農家の苦労も知らず傷リンゴだなんて文句を言っていた私。そのリンゴに助けられた。」
中学一年生の稲垣真於さんの家に秋田の親戚からリンゴが届いた。「また傷リンゴだろうね」…リンゴの箱は玄関先に放置された。
ところが翌日まさかの大地震、そして原発の爆発。損壊した家に入ることはできず、唯一残されたリンゴの箱を車に積んで一家は秋田へと逃げる。
辿り着いた秋田で目にしたものは、豪雪に埋もれて枝も折れ、無残な姿になったリンゴ園だった。
彼女は、リンゴ農家の苦労も知らず“傷リンゴ”だなどと文句を言っていた自分を心から恥じ、命を救ってくれたリンゴとリンゴ農家に感謝する気持ちを綴った。
※国連WFP協会のエッセイコンテストで、最優秀作品に選出された作文より。 |