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「散歩道」
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 特別編
第146話「ある大学院生の日記」
by ちぃなちぃな

 

 

 

 

 

 

 

 原子力について研究されている大学院生の日記
 転載します 1
 まず、放射線に関して基礎知識。

放射能って、ナニ!?

 放射線と放射性物質、放射能は、違 い ま す 。
 「放射線」を出す能力が【放射能】、
 【放射能】を持った物質が[放射性物質]、
 [放射性物質]から放出されるのが「放射線」
 です。

 新聞で「放射能漏れ」という書き方を良くしてますが、言葉の使いかたを間違えてます。
閑話休題。

 放射性物質というのは、つまりは一部の原子です。放射能を帯びた原子だけが、放射線を出す訳です。

 で、放射性物質は花粉と同じ様に、風に乗って、あるいは人やクルマに付着して広範囲に運ばれます。
 こうして運ばれながら、こいつが放射線を放出し続けるので、広範囲で放射線が検出される訳ですね。

 で。
 放射線というのは、普通に生活していても浴びています。
 自然界にも、放射性物質は天然に存在していますから。

 放射線の量の単位にSv(シーベルト)ってのがあります。
 これは人体への放射線の影響を表す単位です。
 日本国内では、平均して1年間に2.4mSv(ミリシーベルト、1mSvは1Svの1/1000)くらいを自然に浴びています。
 レントゲン撮影などの医療行為を含めた平均は、4.4mSv。
 地球上、放射線量の多い地域では年間平均が10mSvくらいのところもあります。
 いずれにせよ、健康への影響はありません。

 ちなみに、胸部レントゲン1回で0.1mSv〜0.2mSvほどのX線を浴びます。
 胃のレントゲン撮影では4mSv、CTスキャンでは7-20mSvほどの放射線を浴びます。

 ここでの放射線とはX線のことですが、X線も放射線の一種ですよ。
 年に何回もレントゲンを撮ってる人もいますが、健康に影響が出たなんて話はありませんよね。

 それから、ニュースでは放射線量の単位で「Sv」と「Sv/h」を混同してることがあります。
 たとえば、200mSv/hの場所に3時間立っていたら、200×3=600mSvの放射線を浴びます。 速さと距離の関係と同じです。

 ニュースで言う「どこどこで●●mSvの放射線が検出され…」ってのは、どのくらい時間をかけて測定したのか、が重要です。

 同じ1000mSvを一瞬で浴びたら具合が悪くなりますが、100年かけて浴びたら別に問題ありません。ということです(詳しくは後述)。

 日本では温泉文化が盛んですが、放射能泉ってご存知でしょうか?
 ラジウム泉とか言ったりする温泉です。
 こういう温泉は、放射線を多く放出しています。

 一般的な放射能泉で、普通の環境の200倍、さらに放射能泉の名湯である有馬温泉などでは4万倍とまで言われてます。すごいですね。
 しかしこれもまだ健康に良いレベルなのです。
 多くの方が湯治に訪れています。

 実際、「ある程度の放射線を浴びることは、健康に良い影響を及ぼす」と示す研究結果があります。
 あくまでも「ある程度の」ね。こういう温泉くらいの。

 んで。
 「じゃあどのくらい放射線を浴びたら危ないんじゃい」という話ですが、正確なデータはありません。
 人で実験するわけにいきませんし。

 ただ、200mSvくらいまでは、放射線による健康への影響は確認されていません。
 これは、日本の平常時の100倍の値です。

 短期的に1Sv(=1000mSv)を浴びると、具合が悪くなる(吐き気がしてくる)ようです。

 さらにその5倍、5Sv(=5000mSv)程度を短期的に浴びると、急性放射線障害により半数の人が死亡する、ようです。

 これ、日本の平常時の数千倍という数値ですからね。
 まだ今のところは、原発の事故による放射線が健康に影響しない、とご理解いただけると幸いです。

 現在は「平常時の30倍の放射線が…」なんてニュースで言ってますが、自然に浴びる放射線のうち、地表の水や樹木、あるいは食べ物などに由来するのは20-30%くらいです。
 (残りは医療行為や宇宙線など)

 たった数%を占める要素だけが30倍になっても、全体的な量ではたいしたことはありませんし、前述の通り
 「放射性物質は風や水に流されるので、いつまでもその場で放射線を出し続けているわけでもありません!」

 逆に言えば、少しくらいの距離を避難したところで、そういった拡散の影響から逃れられるとは考えづらいのです。

 なので、ガソリンを無駄にせず、家にこもってる方が得策であると、個人的には思いますよ?
 自分も避難しませんし。(というか、手段が無いので逃げられません…)

 それでも「何か対策しないと心配で…」という方へ。

 空気中に飛んでいる放射性物質を呼吸により体内へ取り込んでしまうことがあります。
 これを防ぐためには、外出の際に濡れマスクを装備しましょう。これでほとんど除去できます。
 使用済みは普通にゴミへポイポイ。

 あと、出歩いたときに身体の表面にも放射性物質が付着する可能性があります。
 これを落とすには、水やお湯、出来れば石鹸水で体を洗ってください。
 つまり普通にシャワー浴びればok。

 これは、僕ら原子力系専攻の学生が、放射性物質を扱う実験で行う除去方法です。

 というわけで、自分は今のところは心配していませんし、避難もしません。

 た、だ!
 これからもし事態が悪化した場合のことは、僕にもわかりません。
 その場合の心配まで考える方は、やはり避難したほうが良いでしょう。
 できるだけ遠く、北海道や西日本へ。

 どのくらいの確率で悪化するか、というのは何とも言えません。
 わかりません。
 現場で作業してくれている方の判断しだいです。

 最後に。
 東京電力では、運転をミスしたわけではありません。
 あり得ないほどの規模の大地震、余震、さらには津波を何度も受け、老朽化した福島原発が耐久限界を超えてしまった、という事故です。

 現場で作業に当たっている方も、おそらくは被災者です。
 危険をかえりみずに、事故対策の作業にあたっています。
 東京電力を非難したり、苦情を言ったりするのは、お門違いです。やめましょう。

 もし情報を拡散する方がいたら、ご自由にどうぞ。
 ただし、あくまでもただの学生の言い分ですので、参考程度に考えてくださいね。

            

     

 原子力について研究されている大学院生の日記
 転載します 2
 いしだ壱成、母親と原発実験に反対運動、11歳でボコボコにされた凄まじい体験をつづったブログが話題に
 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1551820&media_id=14
 (*編集者より:上記URLは、MIXI外部からは正常にLINKされません。
          COPYして、MIXI内部より参照願います。)

本来、原子力発電は 
安全、且つ、高効率!

 えっと、まず。
 デモに対して機動隊が出たのは、座り込み行為とかが迷惑だからです。
 原発は関係ありません。

 殴られたとか投げ飛ばされたとか、子供がそんな行為を受けたのはかわいそうですが、まるで原発職員がそう言う行為をしたかのような言い方。
 原発のイメージを貶めるような書き方で、卑怯ではないでしょうか。
 「恐怖体験」って、おそらくこれのことでしょう?原発関係ないじゃない。

 次。
 原子力発電所の出力試験自体が危険なのではありません。

 チェルノブイリでは、構造上の欠陥や無理な試験スケジュールの強行、運転員の多重操作ミスなどが重なり、本来起こるはずの無い事故が起きたわけですが、日本の原子炉は設計が異なっています。

 詳細は省きますが、万が一原子炉内の装置が操作できなくなったとしても、自然に出力が下がるように設計されています。

 そもそも、危険ではないはずの出力試験をやめろなどと要求すること自体、あまり理解できませんが…おそらく原子力発電に関する情報は、今よりもっと社会に出ていなかったと思われるので、「何やら危ないのでは」というイメージと、「チェルノブイリの事故と(名前だけは)同じ実験」ということで、反対団体の方々は不安にかられたのでしょうか。

 反対するならまず、十分な知識を得てからにしていただきたいものですが。

 次。
 以下引用。

 いしだはその実験が成功した結果現在稼働している55の原発を「例えが極端だが、55個もの核爆弾が人の手で爆発を制限されながら、いつどかんといってもおかしくない状態で爆弾の周りを取り囲む海水を沸騰させて、日本各地で唸りを上げてタービンを回して発電している。膨大な放射能を海と大気中にばら撒きながら」と表現している。

 引用終わり。

 例えが極端どころか、間違ってます。

 原子炉内の燃料は、核爆弾にはなりません。

 ウラン235(←原子炉で核分裂する原子核のことです)の濃縮度がまったく違います。

 原子炉内のは、せいぜい数%。
 核爆弾のは、90%近くまで濃縮されたものです。
 これだけの違いがあって、同じような爆発的反応は起こりません。

 それから、膨大な放射線を大気と海に撒き散らして、ません。
 ちゃんと施設内に閉じ込めてます。でまかせ言うな。

 最後に。
 原子力発電に事故の危険があるのは、ホントです。
 それが起こったときの被害の甚大さも、他とは比べ物になりません。

 逆に考えれば、それでも原子力発電を使わざるを得ないのです。日本は。

 日本は資源がありませんから、発電するための材料は、だいたいの場合、外国から買ってきます。
 資源を海外にばかり依存するのは、けっこうマズいのです。
 万が一のとき、資源が手に入らなくなるかもしれませんから。

 今の日本のメイン、火力発電。
 燃料は、石油。外国から買っています。
 それをガンガン燃やして発電します。
 CO2含め、色々な汚染物質がどうしても出てしまいます。

 市民団体「環境を汚すな、温室効果ガスを排出するな!」

 原子力。
 事故のリスクはありますが、少ない資源で発電でき、リサイクルすればまたしばらく使えます。
 資源の無い日本には、適した方式と言えるかと思います。

 市民団体「放射線怖いのでやめてください」

 では、次点で水力発電。
 ダムから水を放流する勢いを利用して発電します。

 市民団体「自然環境を守れ、ダムを作るな!」

 それじゃ代わりに、自然エネルギーを使いましょうか。

 太陽光、曇りや雨の日は電気が使えません。
 風力、風のない穏やかな日は電気が使えません。

 自然エネルギーを利用するのは、どれもこれも発電量が少なく、発電量が時間によって大きく変わってしまいます。
 また効率も低いので、電気代がかなり高価になります。

 消費者「電気代の値上げ反対!」

 いしだ氏は地熱や風力、水素にシフトしろと主張していますが、何を寝言言ってるの、と。

 原子力発電は、日本で使われる電力の30%強を占めています。
 それを他のエネルギーで代替するのは、そうたやすい話ではありません。

 環境、事故の危険、発電効率、発電できる量、電気の値段、そういったいろんな事情を加味して、今の発電バランスに落ち着いているというのが実情。

 それはやはり、こうするのが一番良いのではないかと考えられたからです。

 別 に、「必要無いけど田舎ならいいでしょ」とか言って原発を作ったわけでもありませんし、やはりそれなりの理由があるのです。

 簡単に「原子力発電撤廃!」なんて、言わないでほしいと思います。
            

 

 原子力について研究されている大学院生の日記
 転載します 3
 原発 亀裂の立て坑にコンクリ
 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1556547&media_id=2
 (※編集者より:本URLのページは、掲載期間が終了しています。)

 コンクリ注入も汚染水止まらず…第一原発2号機
 (読売新聞 - 04月02日 23:29)
 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1556588&media_id=20
 (※編集者より:本URLのページは、掲載期間が終了しています。)

 またしても原発ネタですが。

本題の前に一言主張。

 自分は原子力賛成派ですし、これまでもそんな発言をしてきましたが、「現状、原子力を利用しないと電力供給のどこかに無理が出るから、原子力を利用せざるをえない」というスタンスの「消極的賛成」です。

 実際に事故も起こってしまいましたし、事故の際は被害が圧倒的に甚大になってしまう原子力。

 これと置き換えられるほどの電力を、同程度の値段で安定して供給でき、環境にも配慮するような方法があれば、もちろんそっちに切り替えたいです。

 自分の卒論にしたって、クリーンエネルギーを効率良く使うための技術を研究していましたし、そりゃあ安全であるに越したことは無いです。自分もそれを望みます。

 でも、現実を見たら、安全のためにかけられるお金だって限度があります。

 火力発電は余裕あるでしょ?って言う人もいますが、火力発電は限界まで使えません。
 点検や夏の大需要時に備えて余裕を持たせているのです。

 冷房を使いすぎて、毎年節電を呼びかけなければいけないくらい、今もギリギリ運転なんですよ。
 それに、燃料だって限りがあります。

 それから。
 自分の提供する情報は、一応ソースも色々見て回っているので間違いを書いていることは無いと思いますが、あくまでも「私見」です。

 皆さんの行動や判断に対して、「それは安全です」と責任を負えるものではありません。
ご了承ください。

 というか、責任とれと言われてもとりません。とる必要がありません。

 そこまで表明する必要は無いと思ったんですが、先日「お前、自分の発言に責任持てるのか」なんて言われてカチンと来ましたので。
 一応ここに責任逃れしておきます。

頑張れ、東電職員

 で、ようやく本題。
 件の水漏れの放射線量、1000mSv/h(1時間あたり1000ミリシーベルト)だそうです。
 ふむ。

 ニュースによって使ってる単位が違ってたりしますが、

 1000mSv
 =1000000μSv(100万マイクロシーベルト)
 =1Sv

 です。

 で。1000mSvがどのくらいの放射線量であるかという話なんですが、「短時間に、一度にまとめて」1000mSvを被曝すると、若干の吐き気などを催す、だそうです。
 だいたいの目安は、wikiで「被曝→被曝の影響」に書いてますので、気になる方は要チェック。

 短時間に、ってどれくらい短時間なのよ、と気になるところですが、例の漏れてる水は、一時間でそれだけの放射線を出しているわけで、数時間もそれに浸かっていたらさすがに具合が悪くなるでしょう。

 以前のニュースではこれほど高い数値の放射線は言われていなかっただけに気になるところではありますが、(これまでもそれくらいの放射線量であったが)調査をしていなかった地点なのか、事故後の時間経過で水が染み出してきて、今はこのくらいの数値になったのか。
 どちらにしろ、放射性物質がどこかから…というよりおそらく原子炉の炉心あたりから供給されてしまっているのでしょう。
 でないと、プルトニウムなんて出てきません。

 ニュースでアメリカの原子力専門家が言っていたとおり、「とにかく外部への漏れ出しを防ぐ、炉心は冷却する」が最優先かと。

 水漏れ箇所をコンクリで埋めたとのことですが、コンクリってそんなにすぐ水をせき止められるのかしら?
 最優先たるべき対処箇所なだけに、確実な処置がされていてほしいです。

 以下、割とどうでもいい(しかも化学の)話なので読み飛ばしても良いと思います


 プルトニウムについて幼馴染から聞かれたので、ちょっと。

 ニュースでよく「セシウム137」とか「ヨウ素131」とか言ってますが、名前の後の数字は「質量数」と言い、んー…その原子の核の重さだと思ってください。

 原子の核は、「陽子」と「中性子」からできています。
 この二つの個数の合計が、その原子の質量数になります。
 原子の種類は、陽子の数によって決まります。

 同じ元素でも、中性子の数が違う種類があって、その中の一部が放射性物質になります。
 たとえば。
 セシウムは、原子核の陽子が55個あります。
 放射性の無いセシウムは、中性子が78個。
 合わせて133個→セシウム133、という名前になります。
 これは放射性物質ではありません。

 ニュースによく出てくるセシウム137は、陽子は55個で同じですが、中性子は82個あります。
 他にも、セシウム134とか138とかもありますよ。

 で。
 原子炉の燃料になるのは、ウランの235。
 が、燃料の大部分は、同じウランでも、ウラン238なのです。
 原子炉の中は、反応中は中性子が飛び交っていて、ウラン238はその中性子を取り込むことがあります。

 すると、中性子が1個増えるのでウラン239になりますね。

 しかしこいつが化学的に不安定でして、すぐに反応を起こして、ネプツニウム239になり、さらに数日でまた反応を起こして、プルトニウム239になります。

 プルトニウム239は割と化学的に安定なので、こういうプロセスでプルトニウムが作られるわけです。

 …ってことで、原子炉でウランを核分裂させるとプルトニウムが出来るわけでして、これが含まれる水が原発施設の外に出ているということは、炉心に放水してる冷却水がだばだば外に漏れ出しているということなのかなぁ…と、イヤな予測をしてしまうのです…。

 プルトニウムは毒性があり、また放射性物質でもあるので、うっかり体内に入るとまずい…のですが。

 ニュースでよく聞くセシウム137などと比べて半減期が長い(=なかなか放射線を出さない、その分長い期間出し続ける)ので、身近にプルトニウムがあってもたいした被曝はしません。
 化学的毒性(つまり放射線とは関係なく、毒物としての毒性)はウランと同じくらい(らしい)とのことですが、体内に入ってもあまり吸収されず、今のところ漏れ出したとされる量のレベルでは、これもあまり気にしなくても良いようです。

 それよりも、やっぱり「プルトニウムが含まれるようなところを流れていた水が外に漏れてしまった」ことが問題である、ようですね。
 そのあたりが、最も放射性物質の多いところですから。ぐぬぬ。

 頑張れ、東電職員!

(配信 2011.4.24ちぃなちぃな)  To be continued⇒
 

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