アルジャジーラ…その実像に迫ります。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラと言えば、オサマ・ビン・ラディンによるテロを正当化するメッセージをそのまま流してブッシュから空爆の標的に加えられそうになるなどアラブ寄りの報道機関と見られがちです。
でも、その実態はかなり違うようです。
|
アルジャジーラ |
同社は、1996年にカタール政府が西洋の近代的メディアをモデルに立ち上げたもので、「公正で政治的圧力を受けない中東で唯一の報道機関」を自任しており、実際、イラク戦争においては欧米諸国に基地を提供するなど穏健な政治姿勢をとってきました。
カタールは面積が秋田県ほどの小さな国で、「天然資源が枯渇した後に国を支えるのは人材」という考え方から、米国の一流大学を誘致したり、アルジャジーラに「子供チャンネル」を設けるなど次代を担う青少年の育成に力を注いで来ました。
さて、そのアルジャジーラが「大科学実験」という番組をNHKと共同制作し、この3月末から教育テレビなどでオンエアしているのですが、これが実に面白い!
NHK教育テレビの番組と言えば、どちらかというと優等生的な作りで面白みに欠けるというのが定説(失礼!)かと思いますが、そんなことを百も承知のアルジャジーラは、制作にあたっての「芸術性やエンターテインメント性」を強く要求して来たのです。
その結果…どんな番組が出来たのか?
3月31日、第一回放映の実験01「音の速さを見てみよう」では、東京の臨海地域で海岸沿いに86人が1.7Kmの範囲に並び、音が聞こえたら順に旗を上げることで「音速を見る」ことに挑戦しました。
|
音の速さを見てみよう
(大科学実験)
(C)NHK |
4月14日放映の実験03「コップは力持ち」では、水を入れたコップに蓋をしてさかさまにすると大気圧で蓋が落ちない現象を利用し、なんとその蓋で力士を吊り上げるという荒業を。
(もちろん、大きなコップを作って蓋の表面積を大きくしてある。)
こういうことって、教科書レベルあるいは実験室レベルで教えられると、「ふーん、なるほど」というくらいしか記憶に残らないのですが、これだけ大掛かりなパフォーマンスを仕掛けられますと、それを見た驚きは一生モノでしょう。
まさに、百聞は一見にしかずです。
|
コップは力持ち
(大科学実験)
(C)NHK |
ただ、これだけ大掛かりにやるわけですから、舞台装置一つ作るにも一筋縄でいかないことが沢山。
4月28日放映予定の実験05「高速で止まるボール!?」の回では、時速百キロで爆走する車の上から、後ろ向きに時速100キロで打ち出したボールを、その場所に止まっている人が「横から」見るという趣向。
ん…?「そりゃあもちろん、ボールはその位置に停止したままゆっくり下に落ちるはずさ」と口では言うでしょう。
しかし、誰しもが心の中では「ホントにそう…なんだろか?」と思うはず。
まあ、実際の映像は放映を見ていただくことにしまして、この回で問題になったのは、時速百キロでボールを打ち出せるピッチング・マシーン。
加速して100キロになるのではなく、マシーンからリリースされたその瞬間から100キロを実現する技術はとても難しいことなのだそうですよ。
そんなものは、存在していなかったのです。
|
太陽で料理しよう
(大科学実験)
(C)NHK |
番組のために一肌脱いで、この超・ピッチング・マシーンを開発したのが「世界でもここしかできない」と言われる企業。
これがどんな大企業かと思いきや、九州にある家族経営の町工場。
熟練職人による「匠の技」によって実現したのです。
うーん…なるほど。
つまり、アルジャジーラが企画を日本に持ち込んだ理由はこれか!
~ポンと膝を叩いた今日の葉羽なのでした。←(今日のわんこ風)
《配信:2010.4.22》
葉羽 …ということなんだって、ケイコ。ホントに真下にふわっと落ちるのかな?
そんなの簡単に実験できるわよ。
葉羽 そ、そっかな?
私が石投げっから、同じスピードで走りながら見てみて。
ええーっ!! |