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 その8 景気対策の功罪
「モーニングコーヒー」Benchi time

 政治のことは、出来るだけ書かないようにしているのですが。

 民主党が大勝した今回の総選挙、みなさんはどんな想いでいらっしゃいますか?

 まあ、支持した人が圧倒的多数だったからこその結果なんですから、「溜飲を下げた」という方も大勢いらっしゃるでしょう。

 「政権交代」あるいは「政権選択」をかけて、マニフェストを正面に掲げた正々堂々の論争…ならいいのですが、それは民主党だけ。

 自民党は相手のアラ探しに終始し、選挙終盤にはネガティブ・キャンペーンまで…というイメージ、非常に残念です。

 では、彼らがあれほど固執した「景気対策」は、国民に評価されなかったのか。

 実はその「景気対策」にこそ、大きな“落とし穴”があったのではないかと思うのです。

空前規模の景気対策を!

 結論から言えば、「景気対策」の意味するところ及びその効果が変質してしまったと言うことです。

 これは、決して国民一人ひとりのためにはならないのです。

 何故か?

 かつて、不況時に打たれた国の総合経済対策は、たしかに景気を良くする効果があり、それに伴って国民も豊かさを実感することができました。

 しかし、小泉政権が行った「構造改革」路線は、「民間活力」を信じ、「経済の競争原理」を先鋭化させることによって、産業社会の構造そのものを変えてしまったのです。

 終身雇用や年功序列など古き良き日本の伝統は完全崩壊、成果主義が導入されて、雇用は流動化。

 厳しい競争社会で企業が成長を続けるためには、人員のリストラによって利益を確保しなければならなくなりました。

 “勝ち組”、“負け組”…。

 企業が「景気対策」の恩恵を享受するためには、同時に「人員整理」という自助努力もしなければ勝ち残れなくなったのです。

 かくして、「景気対策」の下で恩恵を受けるのは「企業」のみ。

 そこから先、労働者の給料も当然に上がっていたかつての構造は、完全に失われてしまいました。

国民本位の・・

 総選挙中に発表された7月の失業者数、有効求人倍率とも過去最悪を更新したわけですが、これは「景気対策」が失敗したというよりは、有る意味、当然の結果なのです。

 このことは、既に予測が付いていたはずです。

 小泉政権の構造改革路線の中で発生した大量のニートやフリーター、就職氷河期、さらには、「過去最長の経済成長」と言いながら“実感無き経済成長”となったのも、「景気対策」が「家計」を潤すことに繋がっていなかったのが原因です。

 こんなこと…一人ひとりの働く国民は、とっくに気が付いていたのです。

 なのに、あいも変わらず「景気対策」。

 むしろ国民一人ひとりの一票を獲得したいなら、「国民本位」と訴え、これまでの方向を転換しなければならなかったはずです。

 実際にこれを訴えたのは民主党でした。

 しかし、その重大な“歴史の潮目”に、自民党が気づいたフシは感じられません。

街頭演説

 「家計」に着目し、同時に「少子化対策」も考え、“子育て中の家庭”という明確なターゲットを設定して民主党が打ち出した“子育て支援策”を「バラマキ」と切って捨てた自民党。

 一方、自らは、“所得に関わりなく全世帯”にバラ撒いた政権与党。

 どちらに「理」があるのか、歴然ではなかったか。

 「景気対策」が悪いとは言いません。

 でも、一人ひとりの国民・労働者が本当に求めているのは何なのか、もう一度“国民の目線”で考え直して欲しいと、切に希望するものです。

 民主党と同じくらい、個人個人としては尊敬できる方が自民党にも大勢いらっしゃるので、この国に“健全な二大政党制”が根付くよう、奮起を期待します。

 《配信:2009.9.8》

葉羽葉羽 うむぅ…リニューアルした2016年時点で振り返ると、民主党をほめ過ぎて“やらかした感”満載です。いっそナンバーから落とそうかとも思いましたが、2009年の時点ではそう考えていたということで。(若かったな僕も…)

 

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