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"ホシノキセキ" by -WindSphere-
 

(丸山芳子)外に出てみると・・。

 

【2020/4/20】 アゲハの季節

 今朝、夫が「羽化したばっかりみたいなアゲハが、オカメ南天にとまっているよ」と教えてくれた。

 外に出てみると、小ぶりのアゲハがいて、ヒトが近づいても逃げない。

 

 羽化して間もないアゲハは、まだ羽が完全ではなく、体も太いため、飛べない。

 静かに羽ばたきしながら体の水分を羽に送って、羽が完全に伸びるのを確かめているようだ。

 このすぐそばには、アゲハが幼虫の時に葉を食べる山椒の木があるので、きっとそこに産み付けられて育ち、サナギの姿で越冬したのだろう。

 実は、数日前に、山椒の隣にある金木犀を剪定していたら、高い位置の枝に、越冬したらしいサナギを見つけていたのだ。まるで金木犀の枝に擬態するような色になって。

 

 9年前の春、いつもどおりに椿が咲いたとき、大災害の後であっても自然は変わらずに巡っていることに、どんなに気持ちが救われたことか。

 そしていま、世界中のみんなが祈るように成り行きを見守るパンデミックの春にも、アゲハの季節が来た。

【2020/4/22】 エプロン

 昨日は父の93歳の誕生日。両親ともに認知症にも寝たきりにもならずに年を重ねてくれて、本当にありがたく思う。

 誕生日に合わせて帰省したかったが、東京にいる私自身が絶対にウィルス感染していない確証はないため、泣く泣く断念した。いつになればこの移動自粛が不要になり、会いに行けるのかはわからない。

 世界中が同じ困難に立ち向かっている今の状況を、第二次世界大戦を体験したふたりの眼にはどのように映っているのだろう?ふと、両親の昔の体験をあまり訊いてなかったなあ…と思う。

 父は用心深く自己管理をしているが、その分、頼られている母に家事一切の負担がかかる。私からすると、父にもっと分担してもらったら?と母に言いたいが、父は申し訳なさそうに母にお願いし、してもらうたびに「どうもありがとう」と丁寧に言うので、母も自分でさせるのは可哀想になるらしい。

 仲睦まじく寄り添っているふたつのまるい背中。見ていてほのぼのしてくる。

 母の家事労働を少しでも担うため、帰省したときは私も目一杯手伝っていたが、しばらくそれができないのは気がかりだ。

 

 高齢になると身体的な衰えによって洗濯物が多くなる。少しでも洗濯量の軽減になればと思い、食事用のエプロンを2人分手作りしてみた。

 介護用エプロンの知恵(うっかり落とした食べ物も裾まわりのポケットがキャッチする)も取り入れつつ、介護風のものを身につける情けない気持ちにならないように工夫することにした。

 材料を買いに繁華街に出たくないので、家にあるもので何とかするという条件つき。今は亡き義母が残していった絹の生地しか使えそうなものがない。絹のエプロンなんてありか?とは思ったが、他にないからしかたない。

 久しぶりのミシン使用で、糸の掛け方はどうするんだっけ?針の穴に糸を通すのが難儀で、ハズキルーペが必須。黒の生地に黒い糸の縫い目はよく見えず、かなりぐちゃぐちゃ。だけど、両親にも見えないはずなのが救いだ。計画性もなく思いつくままに縫う。

 本職の作品制作過程には悩みが付き物だけれど、裁縫は手を動かしただけ形になっていくから、純粋にたのしい。ほんとうに役に立つのかということよりも、何かしてあげたい気持ちのプレゼントだ。

 送った翌日、母から電話があった。「こんなに手の込んだものを…心遣いありがとう!」喜んでもらえたようだ。

葉羽 確かに気持ちは伝わったようです。よかったですね。

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