まだガキの頃、親父との確執から郷里を飛び出してから、もうウン十年程が経ってしまった･･･。

　人生の大半を関東で過ごしたことになる。

　不思議なもので「どこに居たって変わりゃあしねぇよ！」などとウソブキながら･･･心のどこかでは、終の棲家は郷里で･･･などと考えている。

　もう、実家に泊らなくなってどの位が過ぎただろうか？

（５年か、６年位であろうか？）

　実家は猫と兄に占拠されてしまったので、もはや、僕の居場所なんぞはどこにも無い。

実家を占拠する猫達

　千葉から夜逃げして、やっとの思いで郷里のＦ市に居を構えたのは、２年程前のことであった。

　とはいえ、Ｆ県は日本で２番目に仕事の無い県であったし、かの震災で沖縄を軽く抜き去って、日本一仕事の無い県となった。

（悪魔の声）“どゆこっちゃねん”’とツレは申しております。

　仕方なく僕は出稼ぎするハメとなり･･･いまだ、関東の片隅でちっちゃくなってひっそりと暮らしている。

　Ｆ市の自宅で過ごしたのは、２年間で１００日に満たないだろう。

　仕事はと言えば、この９月で契約が途切れるので、次の受注までどの位の期間が空くか判らない。開店休業である。

　貧乏がＵ－ＴＵＲＮした僕を郷里から弾き飛ばした。
　僕は『終の棲家』を南へと求め始める･･･かもしれない。
　かの震災で、御借りしていた家も少なからず被害を受けた。

ガレキ集積所

　塀は崩れ落ちて、壁にヒビが入り、柱なども多少ゆがんだ処があったようだ。

　住めなくなる程の被害では無かったのだが、諸事情もあって転居することとあいなった次第。

　取り敢えずは近隣や通行する人に危害が及ばぬようにガレキの整理をする必要があった。　

　ガレキを臨時集積所に運んで愕然とした。
その圧倒的な量の多さに･･･

　Ｆ市では、いまだにブルーシートのかかった家が点在している。
　臨時集積所の公園はガレキの山であった。

ガレキの山

　ああ･･･この街を出て行かなくちゃいけないんだなぁ～

　ＪＲのＦ駅と飯坂温泉を結ぶ、‘福島交通飯坂線’
　かつては、その沿線に我が家はあった。

　福島駅～曾根田駅を出て、交通事故で足を潰した交差点を高架でまたぎ森合駅を出て、かつて、ちょっとドキドキした女の子の家の前を通り、岩代清水駅のちょっと手前に 、かつて日参したスケートリンク跡を横に見て泉駅で降りて、歩いて３分程の長屋が僕の生家だ。

　小学生の頃はこの電車で毎日通ったものだった。

飯坂線電車

　その泉駅を過ぎて、数駅先を降りて、歩いて１５分程の処にＦ市での自宅だった一軒家の借家があった。

　ああ、この電車、イイデン７０００型に乗ることも 、きっと、もう、ないんだなぁ･･･

　今のＮ町にある実家に僕は住んだことがない。

　思い出もなにもない京前の住居は築４０年程で、もうボロボロだ。

　以前は良くＳＫＩに出かけて来ては、宿代わりに泊っていたのだが、兄の代になってからは、寄り付かなくなっている。兄ともまた確執がある。

　最近では、時折、オフクロがまだ生きているかどうか、確かめに立ち寄るだけとなってしまった。

　その実家を占拠している野良猫共の中に一匹小奇麗な茶毛がいる。
　その猫の名が、なんと『ヒデユキ』というのだ！！！

（これは、ヒミツなんだけど、朱雀の本名は『秀行』ね！）

（悪魔の声）  書いちまってるし・・。

茶毛猫ヒデユキ （後に改名「虎次郎」）

　兄は、「馬鹿なんだからぁヒデユキはぁ！」とか、「早く、エサ食いに帰って来いよ！」とか 　たいそう、その猫を可愛がっているらしい。

（悪魔の声）  へっ、なんで！？

「オメェなんか家族じゃねぇ！」とか
「不良でロクに学び舎に顔も出さないから馬鹿なんだ！」とか
「バカは黙ってろ！」とか
　四六時中言われたとして見て下さい･･･
　どうなるものやら･･･

　僕は言葉しか信じない。
　僕は兄が大嫌いである！

　・・・・・・・

　不要になったテレビを実家に持って行った。
　到底、地デジ対応なんぞするとは思えなかったのだ。

地デジ

　兄はなんだかたいそうにと、喜んで･･･
　僕にシワクチャの１万円札を握らせたのであった。
　僕は頂けるものはジェンブ頂く主義なので･･･
「オゥ！」って言ってサイフにしまった。

　世捨て人の彼にとって･･･
　あの１万円が幾許の価値のあるものか、僕には解らない。

　・・・・・・・

　口がとんでもなく悪いだけで･･･
　実にいい人で、ＨＯＴな人物であるこを僕は良く知っている。

　しかぁし･･･
　僕は兄が嫌いである。
　昨日も今日も･･･そして明日からもずっと･･･

　ただ、「人は自分の為には生きられない！」
「人は誰か人の為に生きる！！！」
　どっかの居酒屋で仕入れた言葉を思い出していた･･･

　ホントはこのグチャグチャの家は、
　オレが守らなくちゃいけないんだと･･･

　都落ちして、再度、都に登り
　技術革新の波に呑まれて、沈没しきっているというのに･･･
　一体、どうせぃって言うのんじゃぁ～？？？

　さぁて、ガンバンベェ～ ！！！

　突然のように、親友宅の離れに身を寄せることとなり･･･
　半年程を過ごさせて頂いた。
　が、結局は都に登るしか食い繋ぐ方法の見つからなかった

　僕は、今、臨時日雇いにて･･･
　千葉の片隅でちっちゃくなって、ひっそりと暮らしている。

　跳ね返された身の上ではあるけれど･･･
　いまだ、郷愁はつのるばかりである。

　上を向いたらキリがない
　下を向いたらアトがない
　さじをなげるはまだまだ早い
　五分の魂　泣いて　泣いてたまるかっ！
　夢がある

（by 朱雀ＲＳ　2014.4.12 リニューアル・アップ）

 やっぱり　ガンバレィ　東北！
　同じく　ガンバレィ　フ・ク・シ・マ！