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 その100 ファッショナブル・アフリカ
「モーニングコーヒー」Benchi time

 どういうタイトルにするかしばらく悩みました♪

 女流写真家ヨシダナギさんの「SURI COLLECTION」を見てぶっ飛びました。

 何でかって? …だってホラ!!

 ををををを~! なんてカッコいい。

 いったいどこのグループ? え、グループじゃない!?

 しかも、女性版もある…

 あらら、オチチがむき出しではありませんか。とすると……

 そう。答えは「アフリカ」。

 エチオピアの「スリ族」を激写した写真集だったのです。

 エチオピアと言えば、「海外駐在員便り」のJUNが台湾赴任前の任地ケニアのお隣の国。

 摩天楼が林立するナイロビの写真を見ていては分かりませんが、アフリカの少し奥地へ入れば、昔ながらの狩猟を中心として生活を営んでいる民族がたくさん居るのだということを改めて認識させられます。

 しかし驚くのは、彼らの極彩色の美しいファッション感覚。

 肌に描いた花火のような模様。

 あるいは「自然」をそのまま身にまとう、素朴だけれども実に風景にマッチした美しい飾りつけ。

 豊穣…そんな言葉が浮かぶ。

 もちろん、写真家であるヨシダナギさんのポーズの注文もあるかもしれませんが、その堂々とした威風は「文化的に遅れた民族」とは到底言えず、むしろ「人類の行くべき道」を指し示しているとさえ感じます。

 中には、鳥のような姿をした少年も。

 そして、森の動物たちを思わせるファッションも。

 さすがの「ファッションの達人!」、カリスマ彰もこれには脱帽ではないでしょうか?

 ねぇ、彰?

    

 ヨシダナギさんは、子供の頃に見たアフリカの民族の褐色の肌に憧れ、自分も大きくなったらアフリカ人になると夢見ていたそうです。

 そして10歳の頃、「あなたは日本人だからああいう風にはなれないのよ」と母親に諭され、人生で初めての『挫折』を味わったとか(笑)

 う~ん、こんな美しいお嬢さんなんですね…。

 しかし彼女は夢をあきらめませんでした。

 アフリカ人になれないなら、写真家になってアフリカ人を撮ると一念発起。

 ところがっ!! 人生、そんなに甘くありません。

 いかにも先進国のカメラマンという風体の彼女を、アフリカの野生に生きる民族は受け入れようとはしませんでした。

 それはそうですよね。どこから見てもヨソ者。心を開くはずはありません。

 しかし、そこで諦めないのが彼女の凄いところ。

 文明の垢が付いた自分の衣服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になって、彼らとのコミュニケーションを図ろうとしたのです。

 (おーまいがっつ!)

 う~ん、こうすればみんなおんなじだ。(ちょっと色は違うけど…)

 こうして彼女は、エチオピアのムルシ族、マリのドゴン族、カメルーンのコマ族などの少数民族を次々とカメラに収めて行ったのです。

 もちろんこうした地では、文明的なお風呂もトイレもなく、医者もいません。

 時には高熱にうなされながら、「裸の付き合い」で距離を詰めて行こうと、彼らと同じことをし、同じものを食べて馴染んで行ったのです。

 これはすごい。尊敬するしかない…。

 青年海外協力隊で派遣されていく青年達もそうですが、もともと努力家であったことと「絶対に夢をあきらめない」という熱い思いを持ち続けられる人々なのでしょう。

 それは「持って生まれた才能」だったのか?

 いいえ、決してそうではありません。

 彼女は中学時代に「いじめ」の標的となり、それが原因で、引きこもりの不登校になっていたのです。

 そんな彼女の背中を押したのが、少女時代の夢。

 「この世に夢以上のエンジンはない」

 …どこかのメーカーのキャッチコピーが思わず浮かんでしまいます。

 最初にパンティまで脱ぎ捨てた時のエピソードも凄い。

 カメルーンのコマ族を撮影する時に、長老の4人の妻の前で服を脱ぎ始めた彼女。

 しかし、その妻たちの視線は決して温かいものではありませんでした。

「脱げるものなら脱いでごらんなさい」

 そんな中で次々と脱衣し、パンティに手をかけた瞬間、妻たちからストップがかかりました。まさか、そこまでするとは思わなかったのでしょう。

 しかし彼女の決意は固く、そのまま一気に生まれたままの姿に…。

 そこで初めて、仏頂面だった妻たちの表情がほころび、歌を歌いだして歓迎を受けたのです。

 妻たちと同様、葉っぱを付けただけの彼女を見て、長老は言う…。

「自分の5人目の妻にならないか」

 ええええ~!!

 と、まあ、「5人目」にはならなかったのですが、一族は彼女のカメラの被写体になることを快く受け入れ、ファインダーの前でポースを取ってくれたのです。


    



    



    


 う~ん、実にファッショナブル。

 ここに至るストーリーもいいけれど、これ自体、目を見張らせる「力」が宿っているよう…恐るべし、アフリカン・ファッション。

 これはもうアートの領域ではないのか…心からそう思います。

 《配信:2016.11.24》

葉羽葉羽 画像は、写真家ヨシダナギさんによるものです。

 

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