先月、大変お世話になった方がお亡くなりになられました。

 それこそ私が若い時からお世話になり、長く色々な形で助言と心遣いを下さった方でした。

 最近忙しいためもあって少し疎遠になり、お会いする機会がめっきり減っていたため、最後にお会いする機会も得ぬまま、旅立たれたのです。

 まだお若く急な事でした。

 その方はとてもエネルギッシュで、いつもとてもギッシリなスケジュールを私に見せて、悩める時には「葛藤しらんな。早くおばちゃんになれ」と諭してくれていました。

 結果私は無事におばちゃんになれて、(精神的に太く、肝が座ったのです)その話をしたら「そうだろう。そう言うもんだろう」と相好を崩して下さり、お世話になりっぱなしだった私が、ちょっとだけ安心していただけたかなと嬉しかったのが思い出されます。

 振り返ったりは滅多にしない私ですが、その分『後悔』と言うものが無くなったのは、人生においての、最大の学びかと思います。

 それでも振り返れば、ここまで来るには決して平坦な道行きではありませんでした。

 その折々に、様々な出会いや、経験、気付いて分かったりして、本来ある生きると言う事と現実と言うものを理解できた様に感じます。

 そして、その折々を一つ一つ紐解いてみれば、いつも何かの形で、その方が場所、きっかけを作って下さったんだと言う事実、そして私を寛大に見守って下さった事が思い起こされるのです。

 思い出せば私は若い頃、プライドだけでできているのに、何も誇れる確証が無くて、不安な気持ちを嘆いていた、どーしょーも無い様な若造でした。

 それが、自分だけの世界から、現実へと向かった最初の入口(出口?)にその方は立っていて、時には手招き、時には気遣い手を貸してくれて、時には頼れる自信に満ちた、とても人を大切になさる方でした。

 私はもちろん色んな要素、色んな世界、色んな人達全部でできていますが、その方に出会ったのが、当たり前の様で振り返りさえしませんでしたが、人生での一番大きな分岐点だったのかもしれません。

 まだお若かったので、惜しまれるのは言うまでもありませんが、ただ、その方のご生前の様子を思い出せば、「悔やむことじゃない」そう言われそうです。

 私は3年前一緒に暮らしていた祖母が亡くなり、初めて人の死に際に直面したのです
が、その時にも増して今回、その方の死に、『永遠ではない』のを痛感させられました。

 それを目の当たりにして、若い頃の私なら愕然となり、不安に陥っていたかもしれません。

 けれども、その方だったら多分「生きる事も死ぬ事も自然!当たり前!」そうおっしゃりそうな気がしてなりません。

 もちろんご自身で死を迎えるには、想像だにできない苦痛と苦難があったと思います。

 それでも、生きて行く事歳を取る事、いずれ死を迎える事、それらは人生がどうあれ、とても確かで、実はありがたいほど自然な事だと、当たり前の様に近くに居て教えて下さったのはその方でした。

 迷える人、生きる方向を勘違いしてる方、沢山悩む人が居る中で、私はその方に出会えた事で、落ち着きと自分を見付ける事ができたのです。

 そしてその出会いから派生した様々な現実が、いつも私に教えてくれたのは、生きていると言う事ほど現実で自然で力強いものはないと言う事実。

 そして、だからこそ死は決して闇とは違う気がするのです。

 それは祖母の死からも学んだ、とても大事な事です。

 今も私は時々伝わらないと言う苛立ちがあったりしますが、それを超えていつも、目の前にある自然が自然でいる有り難さに救われて目を覚ます事ができます。

 現実は決して消えません。そこにあるものだからです。

 それが分かっているかいないかで、又心の置き所が大きく違ってくる事を私は教えていただいた気がします。

 少し逸れますが、私が目を覚ましたきっかけの沢山の一つに又、宮崎駿さんのマンガナウシカとの出会いがあります。

 今思い返すと、そのコピーは編集者が付けたのか宮崎駿さんの作か分かりませんが、とてもいいフレーズで「樹々を愛で蟲と語り風を招く鳥の人」と言うのが、とても自然で好きだったりします。

 同時に、B'zの「熱き鼓動の果て」と言う歌のサビのフレーズに、「離れてもこの胸にいつでも届いてる」これもとても響く言葉です。

 この二つが、その亡くなった方にとてもピッタリしていて、その話を、生前直接お伝えできなかったのは残念ですが、多分その方は何かを分かっていらっしゃったと思うのです。

 祖母が亡くなった事実、その方の死は、悲しく泣けて、寂しいのに、同時にとても大切な事を最後まで教えてくれました。

 ご冥福をお祈りしながら、鎮魂と言うより、懐かしく、そして力強く、私の中で輝く方でした。

 そしてその輝きは死ぬまで私から消える事は無く、又私も誰かにそのほんの一握りでも輝きを伝えられたらいいなと思います。

  Written by Akio (2009.10.26up)

「夏の別れ」 Fra's Forum♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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